大坂なおみ選手に、遺族が感謝のメッセージ 「見返して、たくさん泣きました」
2020年8月31日(日本時間9月1日)から開催されている全米オープンテニス。
同年9月8日に行われた女子シングルス準々決勝で大坂なおみ選手は見事勝利し、準決勝進出を決めました。
4年ぶりに4強進出を決めた大坂選手に絶賛の声が上がっていますが、彼女の黒人差別抗議運動にも称賛の声が多く集まっています。
『警官による差別行為』で広がる抗議大坂なおみの反応に共感集まる
大坂なおみ選手、被害者遺族から感謝のメッセージに感激
今大会で大坂選手は、準々決勝を含め5回の試合を勝ち抜いてきました。
今後、決勝まで勝ち進むことができれば、全7試合に臨むことになります。
全7枚のマスクで黒人差別に抗議
大坂選手はこれまで出場した5試合に、警察の暴力などで死亡した黒人犠牲者の名前入りマスクで登場しました。
大坂選手によると、「決勝までの試合数に合わせ7枚の名前入りマスクを用意している」とのこと。
大坂選手は7枚のマスクについて、このように語っています。
7 masks, 7 names.
— US Open Tennis (@usopen) September 1, 2020
If Osaka reaches the final we will see them all. #USOpenpic.twitter.com/jmARabKhae
マスクは7枚あります。
被害者全員の名前を書くには7枚のマスクでは足りないことが本当に悲しい。
できれば決勝戦まで進み、全部のマスクを見せたいです。
@usopenーより引用(和訳)
被害者の家族からメッセージ
同月8日に行われた準々決勝の試合後、大坂選手のマスクに名が書かれた被害者の遺族から、サプライズで感謝のメッセージが送られました。
"I feel like I'm a vessel at this point in order to spread awareness."
— espnW (@espnW) September 9, 2020
Trayvon Martin's mother and Ahmaud Arbery's father thanked Naomi Osaka for representing their sons on the masks she's been wearing throughout the US Open. pic.twitter.com/0IHBU7pvx4
メッセージを送った1人目の女性は、2012年2月に、アメリカのフロリダ州で自警団員に射殺された17歳の高校生、トレイボン・マーティンさんの母親です。
マスクで息子の存在を示してくれて、また息子だけでなく、アマード・アーベリーやブルナ・テイラーの分もありがとう。
私たちは心から感謝しています。
この全米オープンでの活躍を応援しています。
ぜひ、次の対戦相手にも勝ってください!
@espnWーより引用(和訳)
そして2人目の男性は、2020年2月、ジョギング中に白人の親子に猟銃で射殺されたアーマウド・アーベリーさんの父親。私たちをサポートしてくれてありがとうといいたい。
本当に感謝しています。
神のご加護がありますように。
@espnWーより引用(和訳)
被害者遺族からのメッセージに、大坂選手は…。
なんといえばいいか…。
お2人はとても強い人です。
同じ立場だったら、自分に何ができるかわかりません。
けれど、今の自分は、黒人差別についての意識を広めるための器のような気がします。
彼らの痛みを和らげることはできないかもしれないけれど、必要とされるなら何かお手伝いできればと思います。
@espnWーより引用(和訳)
また、その後の記者会見では、「テレビ中継中は、泣かないよう我慢していた」と語りました。
.@ESPN showed @NaomiOsaka videos from the parents of Ahmaud Arbery and Trayvon Martin, who thanked her for raising awareness ❤️ pic.twitter.com/fJeDzItCae
— US Open Tennis (@usopen) September 9, 2020
実は、泣かないように我慢していたんです。
その後、メッセージを見返して、たくさん泣きました。
自分がしていることに感謝してもらえるなんて、感激です。
自分にできることをしていただけですが、私のやっていることはなんでもないことだと思っていました。
なので、とても感動しています。
心から感謝し、謙虚な気持ちです。
@usopenーより引用(和訳)
一連の大坂選手の行動に、さまざまな声が上がっています。
・「スポーツに政治を持ち込むな」と大坂選手を批判するのはあまりに簡単。でもその前に、彼女の行動が遺族たちをどれほど勇気づけているのか、まず知ってほしい。
・「スポーツに政治を持ち込むな」って、いったいいつからいわれだしたことなんでしょう。スポーツでも、芸術でも、普段の会話でも、一人ひとりの心からの主張を、もっとしていきましょう。
・大坂選手を本当に尊敬します。自分の持てる影響力を人のために使える人。
賛同の声の裏には、信じられないくらいの批判の声もあるでしょう。それでも負けずに声を上げ続ける勇気はすごい。これからも応援し続けたいです。
大坂選手の抗議行動に対し、「スポーツに黒人差別の話題を持ち込むな」という批判の声も多く上がっています。
しかし、被害者遺族たちが大坂選手の行動に励まされていることも事実です。
批判の声を受けながらも、自分が正しいと思うことを勇気をもって主張し続ける大坂選手を応援していきたいものですね。[文・構成/grape編集部]