雨に打たれながら必死で走る親子 それに気付いたバスの運転手が…?
2020年5~8月にかけて、ウェブメディア『grape』では、エッセイコンテスト『grape Award 2020』を開催。
『心に響く』と『心に響いた接客』という2つのテーマから作品を募集しました。
『grape Award 2020』心に響くエッセイを募集!今年は2つのテーマから選べる
今回は、応募作品の中から『吹き抜ける優しさ~バス物語~』をご紹介します。
新しい文化、新しい土地、新しい学校。
引っ越してきて2週間、知り合いのいないこの街で覚えたのは近所のスーパーと学校までの道程のみ。
右も左もわからない状況下で、小学4年生と1年生の息子の手を繋いで丘の頂上にある小学校への道程が時に遠くに感じます。
そして明日は引っ越してから初めての雨予報。
「ママ、明日は雨?学校に歩いていくの?」
私の不安を察したのか子供達が私の顔を覗き込んで言います。
「こんな雨じゃ、学校に着いたらびしゃ濡れだよね。明日はバスに乗って行ってみよう。」
その言葉に嬉しそうな子供達の顔。
子供を寝かした後、バスの経路を調べてみると、我が家の裏通りから学校の前まで行くバスを発見!良かった!
翌日、叩きつける激しい雨の中、遅れまいと早く家を出てバス停に向かいます。