くらし情報『入学したのに、コロナ禍で学校に行けない高校生 登校再開日、先生が告げた言葉は…』

入学したのに、コロナ禍で学校に行けない高校生 登校再開日、先生が告げた言葉は…

相手もこちらに気づき、目が合った。

二人の間に少しの間があった後、どちらともなく笑みがこぼれた。相手が「やっとだね」と一言、僕も「やっとだね」と一言。僕たちが学校につくまでに交わした会話らしい会話はそれだけだったが、それで十分だった。

集合場所である講堂につくと一定の間隔をとって並べられた椅子に先に来た人たちが座っていた。僕も自分の番号が書かれた席に座り、しばらくして全員がそろうと担任の先生が前に出て挨拶や連絡を一通りした。

そして最後に、「初めてこうして同じ場所に集まれたのに前だけを向いているのはもったいないから新しく出会った仲間たちで顔を合わせてみてください。」と言った。

僕たちは横を見たり、後ろを向いたりしてお互いを見た。
僕は画面の向こう側に見ていた皆が目の前にいるということに不思議な感覚を覚え、またそれと同時に嬉しさが胸の底からこみあげてきて自然と笑顔になった。

周りも同じ想いだったのか皆の顔に笑顔が広がっていた。この瞬間、僕たちを隔てていたシャボン玉は笑顔とともに完全にはじけた。

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テーマ:『心に響くエッセイ』
タイトル:『シャボン玉、はじける』
作者名:正路 和也

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