観光バスのバスガイドをする女性 上司から呼び出され、クレームかと思ったら…?
夜景が人気の観光地なのでもちろん夜まで勤務。朝から夜まで、家に帰ってからは暗記の確認、予備原稿の勉強をしたりと体力的にも厳しくなっていた。
「ちょっといいかな。話があるんだ。」
お昼のコースが終わり車庫に戻ると上司からの呼び出し。心当たりはないがもしかしてクレームが来たのかと背中を丸めながらついていくと上司は「これを読んでください。」と一枚の便せんを渡してきた。もしかして本当にクレームが来たのかと恐る恐る読んでみた。
「先日はお世話になりました。最後にお礼が言えなかったのでせめてもの気持ちです。
いつまでも笑顔を忘れず頑張ってください。」
私の顔は上司の顔と手元の紙を行ったり来たり。まさかの応援の手紙だったのだ。手紙のほかには仲睦まじい夫婦の写真が入っていて、見た瞬間に思い出した。あのよく晴れた日に私が「ここがフォトスポットだから」とシャッターを押して一日観光のお供をしたご夫婦だ。
さらに便せんを見るとお守りが入っていた。お客様からのお手紙をもらったのは初めてだったため、つらくても頑張ってよかったと涙がぽろぽろ出てきた。私は嬉しくてすぐにお返事を書いて送り、今でもお守りは肌身離さずカバンに入れて持ち歩いている。