道行く人に無視されて、困っていたおじさん そこへ男性配達員がやってきて…?
2020年5~8月にかけて、ウェブメディア『grape』では、エッセイコンテスト『grape Award 2020』を開催。
『心に響く』と『心に響いた接客』という2つのテーマから作品を募集しました。
『grape Award 2020』心に響くエッセイを募集!今年は2つのテーマから選べる
今回は、応募作品の中から『配達の仕事は、人助けと思ってます』をご紹介します。
8月の猛暑、歩いているだけで溶けてしまいそうな中、私は団地を歩いていた。
この団地は新しくデザインされたところで、1階にお店や歯医者、クリニックもある。すぐ横には大きなイオンモールがあり、子育て世帯も多く暮らす。
私がイオンへ歩いていると、足を引きずったおじさんが、通りがかる人に声をかけていた。でも、みんな通り過ぎてしまう。
おじさんは汗を拭きながら困った表情。あまり見ない顔だし、暑い炎天下だから、みんな自分のことに必死、誰も足を止めない。
そこに、いつも団地を回ってくれている宅配の配達員さんが通りかかった。
彼はおじさんのほうに寄って行って何か話をし、小走りでその場をあとにした。
そしてすぐに台車をガタガタと押しながら走ってもどってきて、なんとその台車におじさんがちょこんと腰かけた。