『密』にならない『初詣』の方法とは? おみくじや除夜の鐘も…!
2020年を振り返ると、一番に思い浮かぶのは、新型コロナウイルス感染症(以下、コロナウイルス)の流行でしょう。
コロナウイルスによって、これまで当たり前に楽しめていたことができなくなったり、環境が一変して苦しい状況に陥ったり…「散々な年だった」とため息をつきたくなるかもしれません。
だからこそ、2021年の年初めには「よい1年になりますように!」と祈願したいものです。
しかし、初詣でさえも『密』を避けるため、神社や寺院に行くことがはばかられます。
そこで、この記事ではオンライン上で参拝できる『リモート初詣』についてご紹介します。
『リモート初詣』がすごいことに…!
『リモート初詣』を行う寺院のひとつが、徳島県阿南市にある、高野山真言宗準別格本山、白水山医王院平等寺(以下、平等寺)。
平等寺では、2020年4月からリモートでの参拝を開始。
コロナウイルスを考慮し、自宅、出勤先、病室、海外など、どこからでも参拝できるように、この取り組みを始めたのだとか。
参拝したいと思った瞬間に薬師如来(以下、本尊様)のお姿を拝観できるよう、24時間、本堂から生中継で配信を行っています。
そこでgrapeは、平等寺の住職である谷口真梁さんにお話をうかがいました。
2020年4月、『リモート参拝』を始めたところ…?
谷口さんによると、24時間いつでも参拝できる『リモート参拝』は、同年4月から通算で200日以上続いているそうです。その再生回数は300万回以上だとか。
ライブ配信では、毎日、朝と夕方に、本尊様に読経する勤行(ごんぎょう)の様子も見ることができます。
毎日の勤行でも『リモート祈願』を行っており、これまでに5200件以上の申し込みがあったそうです。
谷口さん:
毎日のライブ配信では朝と夕方の勤行(ごんぎょう)で、リモートでの祈願を受け付けているんです。
その『リモート祈願』では、これまで5千人以上のお願いごとを本尊様の前で読み上げたり、木札に祈願内容を書き、炎に投じる『護摩行(ごまぎょう)』を行ったりしました。
また、お盆の時期には「先祖供養ができない」「リモートでお盆の供養をしてください」という声が上がったため、お盆の『リモート供養』を行ったところ、600件以上の申し込みがありました。
その後、お彼岸もリモートで受け付けたところ、500件以上の申し込みがあったんです。
そこで、谷口さんは2020~2021年の年越しや正月の祈願・供養も、リモートで行えるよう企画しているのだとか。
年越しも『リモート参拝』で!
現段階で決まっている、平等寺での初詣に関する取り組み予定は以下の通り。
【2020年12月31日23:30~】
・除夜の鐘 ライブ配信
【2021年1月1日00:00~01:30頃まで】
・『新年厄滅開運の護摩』ライブ配信
・リモート除夜の鐘
・リモートおみくじ
【2021年1月1~3日】
・『薬師増益護摩』ライブ配信
『護摩』とは、願いごとを書いた木札を炎に投じながら、ご真言を唱える修行のこと。
谷口さんは1月1日の0時から新年の厄を払い、開運を祈願する『新年厄滅開運護摩』を約1時間半行う予定です。
さらに、それとは別に1月1~3日の3日間、1日につき7回の『薬師増益護摩』を行います。
『薬師増益護摩』では、「みんなのご利益がもっと増しますように」という願いをこめて護摩を行うのだとか。
これらの護摩行も平等寺のYouTubeチャンネルでライブ配信されます。
また、『リモート祈願』も受け付けており、平等寺のウェブサイトから無料で申し込むことができるそうです。
実際の申し込み画面がコチラ。
ウェブサイトから願い事を申し込めば、谷口さんが護摩を行う際に、祈願してくれます。
また、希望者はお札やお守りの購入もできるのだとか。
これらの『リモート祈願』に申し込んで、『リモート初詣』に参加してみてはいかがでしょうか。初詣期間中はYouTubeのライブ配信画面に、参拝の作法も記載するとのこと。
作法に従ってパソコン画面の前で合掌し、2021年がよい年になるよう祈りたいものです。
『リモート除夜の鐘』とは…?
2020年12月31日の23時30分からライブ配信する『除夜の鐘』では、実際に平等寺に訪れた人が梵鐘を鳴らす様子を生中継。
それとは別に、2021年1月1日の0時から行う『リモート除夜の鐘』は、パソコン画面から、平等寺に設置してある梵鐘をリモートで鳴らせるのだそうです。
その仕組みを簡単に説明すると…。
・参拝者がYouTubeのチャット欄にローマ字で『joyanokane』と入力。
・平等寺のパソコンが反応。
・そのパソコンの指示によりロボットアームが梵鐘を鳴らす。
実際に、ロボットアームが梵鐘を鳴らす様子がコチラ…!
ただ、多くの人が一斉に『joyanokane』と入力すると、『リモート除夜の鐘』が鳴りっぱなしになってしまうので、パソコンが反応するのは2分ごとなのだとか。
つまり、2分が経つごとに、一番初めに『joyanokane』とチャット欄に打ち込めた人が、『リモート除夜の鐘』を鳴らせるのだそうです。
また、『リモート除夜の鐘』が108回鳴りきった後には、鳴らせた人の名前一覧が見られるようになるのだとか。
新年早々、除夜の鐘を鳴らせたら幸先がいいですよね!
『おみくじ』もオンラインで!
谷口さんによると、おみくじも『リモート除夜の鐘』と同様の仕組みで引けるよう、システムを構築中なのだそうです。
おみくじを引く方法がコチラ。
・YouTubeのチャット欄にローマ字で『omikuji』と打つ。
・平等寺にあるパソコンが反応。
・入力した人におみくじの結果が返信される。
実際に送られてくるおみくじは、このようになるそうです。
おめでとうございます。
新年の運勢は「寝ても覚めても大吉」です。
いい夢見て、実現させましょう。
おっとこれは、新年の運勢は「いっときだけ大凶」です。
これ以上悪くなることはありませんので、気楽にいきましょうね!
フランクな内容のおみくじに、新年から楽しい気持ちになれそうです!ぜひ、20201年の運勢をこのおみくじで占ってみてくださいね。
また、谷口さんはリモートで賽銭ができる『リモート賽銭』も、準備中なのだそうです。
『リモート参拝』のメリットは…?
『リモート参拝』を始めた日から、ライブ配信を200日以上継続中の谷口さん。
カメラの前で勤行した後には、参拝者から寄せられた悩みに対して、谷口さんなりのアドバイスや、仏教の教えなどを説いています。
谷口さんは『リモート参拝』について、「参拝者がより真剣に参加してくれている」と感じるそうです。
谷口さん:
『リモート参拝』を始めて感じるのは「みなさん、本当に真剣に拝んでくださっているな」ということです。
『リモート参拝』を行った参拝者からは「実際に行くよりも、ちゃんとお参りした感じがする」という声もあります。
その理由は、やっぱり本尊様を、普通より間近で拝むことができること。
また、護摩の祈祷でも炎のすぐそばにカメラがあるので…。
自分の名前が読み上げられて、炎の中にお札が投じられる様子を見ることができ、「自分の願いごとを本当に祈願してもらえている」という実感が湧くそうです。
実際に寺院に訪れても、建物の外からお賽銭を投げて、わに口を鳴らして、拝むだけ。
それに比べると、『リモート参拝』は「実際に祈りの場に自分が参加できている」と感じられるようです。
さらに、谷口さんは「『リモート参拝』ならではのよさもある」と教えてくれました。
谷口さん:
なかなか、願いごとや悩みを人にいえない。
たとえ相手が、僧侶だったり宮司であっても、なかなかいい出しづらいという人がおりまして…。
『リモート祈願』は、そういう人たちからの需要もあったのではないかと。
願いや悩みを口に出せない人たちのほうが、もしかしたら悩んでいるのかもしれません。オンライン上での祈願の申し込みは、内容をパッと打ち込んで、自分のタイミングで送れますから。
離れているからこそ…顔が見えないからこそできるお願いごとっていうのはあると思います。
そういうところが、『リモート参拝』のいいところですね。
また、参拝者の中には、谷口さんに文面でさえ悩みごとを打ち明けられない人もいるのだとか。
谷口さんはそんな人のために、秘密裏に、本尊様にだけ悩みを打ち明けられるフォームを、平等寺のウェブサイト内に作ったそうです。
それが、こちら。
秘密フォーム
平等寺本尊、薬師如来さまのみに届く秘密のメッセージをお送りしたい方は、こちらのフォームからどうぞ。
住職そのほか、誰も目にすることはありません。
ログにも一切残りません。
お薬師さまへの届け方は秘密です。
ちなみに、この秘密フォームで『秘密裏』に願いごとを送信すると…。
本尊様から「お便りありがとう」「届いてるよ」とのお言葉が返ってきました!
さらによく見てみると「大丈夫大丈夫」「いけるよいけるよー」といった励ましのお言葉も…。
誰にもいえないけれど、自分の中で抱えきれなくなった悩みなどは、直接本尊様にメッセージを送ってもいいかもしれません!
年越し前後の供養は下記の日程で行われます。
【2020年12月27日~2021年1月17日】
・焼八千枚供前行ライブ配信
【2021年1月28日~2月4日】
・星供養 立春ライブ配信
コロナウイルスの終息を祈願する『焼八千枚供(しょうはっせんまいく)』や、よくない運勢をいい方へ向かうよう祈願する『星供養』も、平等寺のウェブサイトから『リモート祈願』を受け付けています。
特に、八千枚の木札を炎に投じて祈願する『焼八千枚供』を、全日程、ライブ配信するのは日本でも初めての試みなのだとか。
護摩行が行われている期間中に、平等寺のYouTubeチャンネルからご覧ください。
平等寺ウェブサイト:こころとからだ、癒やす寺平等寺
『リモート祈願』申込:平等寺オンライン
YouTubeチャンネル:四国二十二番札所平等寺
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[文・構成/grape編集部]