2021年2月6日 16:43
『始める』と『続ける』どちらが難しい? 子供の姿から保育者が思ったこと【きしもとたかひろ連載コラム】
壁にぶち当たっても乗り越えてほしい。そのときに味わう達成感は格別だ。
けれど、と少し考えてみる。
何気なく腰掛けて、なんとなく座っていただけなら三年座っていられるかもしれない。けれど、あらかじめ石が温かくなるまでは何年もかかりますよ、と言われていたら、そんな石には座らないんじゃないだろうか。
どうしても座らなきゃいけない状況はあるかもしれない。そんな人にとっては、「いつか温かくなるかもしれない」という見通しがあれば安心する。
だけど、それは座り続けるための理由ではなく、あくまでも我慢を続けるための慰めだ。
そうやってやっとのことで温まったお尻に感じるのは、きっと達成感ではなく、辛かったことから解放された安堵だろう。少し走ってみようかなと思ったときに、遠くにあるゴールにたどり着くまで走り続けないといけないとしたら、ましてや、周りのみんなはその道のりを悠々と走っているのを見たら「今回はやめておこうかな」と、スタートを切ることさえしないんじゃないか。
そうしたら、そのまま「興味はあるけれどやっていないリスト」に追加されることになる。続けたら花が咲き、実がなるかもしれないけれど、そもそも始めなかったら芽さえも出ない。