親子で演劇を観に行こう! マームとジプシー・藤田貴大さんに聞いた、観劇の楽しみ方
しかしあえて壮大にせず、家の中で完結する細かい話をつくりたいと仲間と話しました。大人が寝静まった真夜中って、ロマンチックだなと幼少期から思っていたんです。そんなきっかけで、子どもが夜起きて家の中を冒険する話にしました」
その構想中に緊急事態宣言が発令、新しい生活様式の中で、”めみみ”と同じチームが再結集して制作が進んでいく。稽古時間の短縮、マスクの着用、事前の検査、観客動員数の50%削減。その状況下と『かがみ まど とびら』のストーリーが重なって完成まで早かったと語る。
「”めみみ”を見た小が再び観に来た時にに、同じ舞台サイズや同じ俳優でも、台本が違うだけで『こんなに違うんだ』と感じて欲しい。どんなものも、ちょっとしたクリエーションで変化が生まれることを発見して欲しいですね」
劇場でしか伝わらない質感
記憶で再生される尊さ
藤田さんが演劇を通して伝えたいこと。それは現代のツールやメディアから感じ取れない質感とスピード感だ。
「一番に、劇場でしか手渡せない質感があります。映画や動画は記憶なので何度でも再生できるけれど、演劇は目の前の一度きりなので再生はできません。つまり記憶なんです。記憶でしか再生できないものの尊さ、質感が残ることが重要だと思っています。