小野リサ 母となってからは大きな声で子供たちを叱ることも
「今日の公演(6月16日・前橋市民文化会館大ホール)を終えたら、明日は朝一番で香港でのコンサートに向けて旅立ちます。その後も、北海道、長崎、上海……」
今年は、ボサノヴァの女王・小野リサさん(56)がデビューしてから30周年。同時にボサノヴァ誕生60年、日本人のブラジル移住110年など、いくつもの節目が重なって、例年になく精力的な音楽活動が続いている。
ボサノヴァが誕生したちょうど60年前、’12年に亡くなったリサさんの父親・敏郎さんが妻の和子さん(82)と共にブラジルへ渡ったのがくしくも同じ’58年だった。
もともと音楽家を目指していた敏郎さんが、サンパウロで開業したのが、ライブハウス「ICHIBAN(クラブ一番)」。すぐに、セルジオ・メンデスなど現地の大物ばかりでなく、日本からも坂本九や菅原洋一など一流ミュージシャンが出演する有名クラブとなり、’62年7月29日に誕生したリサさんは、生まれた瞬間から音楽に囲まれて育ったという。
「最初の私の音楽の記憶は、父に連れていかれたレコーディングスタジオの光景。父はとにかくおしゃべり好きで、ネイティブさながらの英語やポルトガル語で、どの国の、どんな立場の人とも分け隔てなく楽しそうに話していました」