くらし情報『67回目の訪朝へ。寺越友枝さん「国交なき国境を越えて」』

2018年8月26日 11:00

67回目の訪朝へ。寺越友枝さん「国交なき国境を越えて」

武志と一緒に行方不明になった叔父から寺越家の次女の元に、『北朝鮮で生きとる』という手紙が届いた。次女から、『武志は生きとったぞ』という電話を受けたあとのことは、気が動転してよう覚えとらん。あわてて実家の母に電話をしたら、『頭がおかしゅうなったか。明日行くからしっかりせい!』と言われたことだけは覚えとる」

翌日、寺越家の親族会議が開かれた。

「『北朝鮮は、おと(そ)ろしい国や。絶対に誰にも言うな。返事だけ出して黙っておこう』と言うことになったんや。けど、私は武志が生きとるのかどうか、どうしても確かめたい。
誰にも言うなと言われたが、寺越の親族には内緒で、警察や県庁、赤十字にまで相談して回ったんや。けど、結局は『北朝鮮とは国交がないから確かめようがない』で済まされてしもた。それで、思い切って武志に手紙を書いたがよ。『おまえは小学校のとき、ばあちゃんちに預けられとったやろ。その家の様子を覚えとったら知らせてくれ』と。そしたら、1カ月で返事が来た。そこには、庭に柿の木があったことや、武志しか知らんことが書かれとった。『武志は生きとった!』そう確信したら居ても立ってもおれんかった」

武志さんらが北朝鮮で生きていたことは日本で大きく報じられた。

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