2018年9月13日 16:00
ケフィア事業振興会の被害者語る「亡くなった妻のお金を返して」
「私がだまされた1,100万円は、5年前に乳がんで亡くなった妻とコツコツと貯めた老後資金でした。教員をしていた妻の退職金も含まれているので、本当に申し訳なくて……。今回の件は、2人の子どもにはとても話せません」
愛知県の笹村浩二さん(77・仮名)は、そう語ると天を仰いだ。
負債1053億円、債権者数約3万4,000人――。3日に破産を申し立てた「ケフィア事業振興会」は、干し柿やヨーグルトなどの加工食品のオーナーになれば、約半年で8~10%の利息を支払うとして会員を募集。今回の破綻で、少なくとも340億円あまりの投資金が戻ってこない事態になっている。
被害対策弁護団のひとりで、リンク総合法律事務所の中森麻由子弁護士が解説する。
「仕組みは複雑ですが、典型的な会員制オーナー商法です。
投資した人の8割は60歳以上の高齢者で、そのほとんどが“投資に慣れていない女性”という印象をもちました。5年以上にわたって金利が支払われてきたこともあり、銀行に預けているという感覚で信用していたようです。老後のために貯めておいたお金を投資した方が多く、被害額が1億円を超えた例も。みなさん長年にわたって出資してきたので、被害額の平均は100万円を超えていると思われます」