2018年9月16日 06:00
阿川佐和子さんの“介護ストレス”対処術は「たまにのズル」
「介護って、やっぱり報われないことだらけだけど……」。自身の体験をもとに、家族小説を書き上げた彼女。そこには、家族への温かい愛情が込められていた――。
「母親に認知症の兆候が表れはじめたとき、『最近、母さんおかしくない?』と先に周囲が気づいて、本人はさほど自覚なんてしていないように見えました。でも、『すぐ忘れる、バカバカバカ』と母親のメモを見つけて、“本人がいちばん傷ついているんだ”ということに気がついたんです」
そう語るのは、作家の阿川佐和子さん(64)。9月28日、小説『ことことこーこ』(KADOKAWA)が出版される。同小説は、40歳を目前に新たな仕事と親の介護を抱え、人生の岐路に立った女性・香子が、自分の道を見つけて歩み出す姿を描いた家族小説だ。
認知症でもの忘れがひどくなった母・琴子が自分のために書いていたたくさんのメモを、香子が見つける場面は、阿川さんが認知症の母親の介護をするなかで体験したことがベースになっている。
香子の家族と同じように、阿川さんの両親は当初2人で暮らしていた。しかし、父親(故・弘之氏)が自宅で転んで頭を打ったり、誤嚥性肺炎を起こしたりしたため、’12年初めより入院することになる。