2018年10月1日 16:00
経産省が放出をもくろむ福島原発トリチウム水の危険性
「“薄めたら安全““いちばん金がかからない方法”と言うが、そんなに安全なら東京湾に流せばいい」(福島県・郡山市の参加者)
そんな意見が飛び交い、会は紛糾――。これは経産省・資源エネルギー庁(以下、経産省)が8月末、福島県と東京都で開いたトリチウム水の処分に関する公聴会でのことだ。
いまでも、溶け落ちた核燃料の冷却が続いている福島第一原発では、トリチウムなど高濃度の放射性物質を含む汚染水が、発生し続けている。
東電は、この汚染水をALPS(アルプス)という放射能除去装置でろ過し、トリチウム以外の放射性物質は、ほぼ除去できていると主張してきた。除去できずに残るトリチウム水は、タンクに貯蔵し、福島第一原発の敷地内で保管している。その量は、今年3月時点で約105万立方メートル(タンク約860基)に及ぶ。
増え続ける汚染水に頭を悩ませてきた東電や経産省は、13年から有識者委員会を立ち上げ、処分方法を検討してきた。そこで「安価で簡単な方法」として有力視されてきたのが、海洋放出なのだ。
「トリチウム水を保管するタンクの建設は20年末まで予定されているが、タンクの置き場がなくなってきている。