永六輔さん“介護ピンチ”を乗り越えた家族のチームワーク
「『一度も休んだことがないから休みたくない』という父の気持ちをくんで、電話で出演させていただいたり、その後も、ベッドの上で収録したりしてなんとか乗り切ることができました」
そして退院後は、千絵さんの夫・良明さん、妹の麻理さんとの3交代制で実家に通うように。’02年に母・昌子さんが逝去して以来、六輔さんは一人暮らしをしていた。
「夫は父とは血がつながっていないことで、ほどよい距離感をとれるし力仕事も頼める。車いすを使い勝手よく改造してくれたり、男手があることは心強かったです」
六輔さんのマネージャーでもあった良明さんは、車いすを押して現場へ。仕事場でのサポートは、良明さんの担当だった。
「私は“父・永孝雄(本名)”をサポートするという分業でした」
私生活の面では、以前から親交のあった女性がケアマネジャーだったことから一任し、自宅ではヘルパーさんも頼み、万全の態勢を整えた。そのため千絵さんも、映画エッセイストとしての執筆を続けることができた。全員が生活のすべてを介護に費やすことなく、少しずつ手抜きができる状態をつくる。
そんな理想的な“チームワーク介護”を、一家で力を合わせて実践した。