阿木燿子さん明かす「祐太朗との奇縁」「百恵さん涙の電話」
『わかる、その苦しみ、私にもあるのよ』って、そんな気にさせてくれる。それはどこか私の詞にも繋がっていると思うんです」
祐太朗の歌い方も、阿木さんが求めていたものだった。
「彼は音域も広いし、声量も表現力もある。それに日本語の歌詞をとてもきれいに歌える歌い手さんで。美しい日本語は、曽根崎心中のいちばん重要なテーマですから。もう祐太朗さん以上の方はそうそういないだろうって。それにしても、本当に不思議ですよね。気が付いたら親子2代にお世話になることになって……」
百恵さんは現役時代、阿木燿子作詞・宇崎竜童作曲で大ヒットを連発。
宇崎夫妻の作品は、百恵さんが国民的歌手へと上りつめる“道しるべ”でもあった。 楽曲を提供するたびに「百恵さんの歌のうまさ、歌詞の理解力、表現力に圧倒された」と阿木さんは興奮気味にこう語る。
「とくに『プレイバックPart2』はレッスンする時間がほとんどなかったはずなのに、あの難しい歌をよくあそこまで表現してくれたなって。作ったこちらが『ああ、こういう詞だったんだ』って思うほど。百恵さんは詞の行間が読める歌手で、その意味でも天才ですよ。百恵さんという存在があって初めてかけた曲がほとんどなので、私たちにはもう、感謝しかないんです」