2018年11月17日 11:00
料理研究家・浜内千波が料理に込める「亡母への愛と憧れ」
「さつまいもや里芋にあんを着せておはぎのようにいただく郷土料理の『出世芋』や、金時豆のちらしずし。先日、期間限定発売の『阿波の国の満足膳』というお弁当を監修させていただきましたが、できるだけ母の味を再現しました」
とめどなくあふれる母の味の思い出。それはまさに「幸せと愛」の記憶であり、今も浜内さんの心のよりどころになっているという。
「実家を出てから、いかに母が私たちのために心を尽くしてくれていたかがわかりました。いつの時代も親が子どもを思う気持ちにまさるものはありませんが、それを継続して伝えられるのが、毎日のお料理だと思っています」
7年前に亡くなった母の味を「もう食べられないの」と涙ぐむ浜内さん。短大卒業後は3年間のOL時代を経て料理の世界に飛び込むが、目指したのは「家族の健康を守れる料理を作ること」。
「実はすぐ上の兄が小学校6年生で他界しまして、そのときの母の嘆きようは今も忘れられません。以来、私が風邪ひとつひいてもすごく心配されました。
家族の健康を守ることがいかに大事かを、身にしみて学びましたね」
その後独立し、クッキングスクールを開校。母から受けた「幸せ」の記憶を、いまも伝え続けている。