2018年11月19日 06:00
ステージ3乳がん…日本テレビ記者が闘病10年で変えた未来
だった。「どこの病院に行っても、将来の出産を考えて、抗がん剤による生殖機能のダメージなどを軽減するホルモン治療だけは続けて」
吉本先生はこう言って、赤ちゃんを抱っこした母親の写真がびっしりと貼られた、1枚のパネルを見せてくれた。
「お母さんになった患者さんの写真を集めるのが、僕の趣味(笑)。いずれ、あなたの写真ももらうから。しっかり治療して、仕事も、結婚も、出産もしてください」
最後にはまっすぐ目を見て――。
「鈴木さん。がんだからって、幸せになることを諦めないで」
先生のこの言葉を聞いて、告知以来、初めて人前で号泣した。
「がんになって最もつらかったのは、未来が見えないことでした。
私の未来の可能性を一緒に考えてくれた吉本先生に主治医になってもらおうと決めました」
5月21日、右乳房の全摘出手術を行った結果、ステージ3の乳がんで、リンパへの転移も判明。
「最終的に温存手術を選ばず全摘の決断をしたのは、理屈ではなく体の中でがんがものすごい速さで育っていくのを感じたからです」
しかし、本当につらい闘病生活はこれからだった。
「抗がん剤治療が始まり、副作用で全身の脱毛が始まると、毎晩、天国へゆく夢を見るほどの絶望感にさいなまれました」