2018年12月10日 06:00
百恵さん『蒼い時』生み出した元・本誌記者が語る『女性自身』
やがて、『この部屋に残間ちゃんのデスクを置いてやるよ』と、声をかけてくれる人まで出てきて。仕事は足でするものだと教わりました」
取材のアポイントを取るときには、「『女性自身』ですが……」と言った途端、電話を切られることを何度も経験した。
「私がどんな人間かなど関係なく、看板だけで。それでもなかには丁寧に取材内容を説明すると、最後は了承してくれる人も4割くらいはいました。こうした体験があったからこそ、今も仕事を続けていられるのだと思います。というのも、プロデューサーの仕事は、依頼・説得が主たる仕事ですからね。この『拒絶体験』には、すいぶん鍛えられました」
人との適正な距離感の取り方も『女性自身』の仕事を通じて教えてもらった。
「ちょっと親しくなったからといってズカズカ入り込まないことですね。
山口百恵さんとの『蒼い時』の仕事がうまくいったのも、用事もないのに連絡などはしないというように、ベタベタした付き合いをしなかったからだと思います。あのころの『女性自身』を一言でいえば、『骨のある雑誌』ですね。みんな、必死でしたよ。誰よりもいいプランを出して、取材対象者にも食い下がって、少しでもジャーナリスティックな精神で伝えたいと、編集者も記者も気概がありました」