2018年12月15日 06:00
ロバート・キャンベルさん「還暦祝いが突然の結婚パーティに」
進学した高校に、アジア系の生徒が多かったことから中国語を学び、カリフォルニア大学バークレー校時代には、建築や映画などの日本文化にも傾倒していった。
大学3年のときには、1年間、東京に留学。谷崎潤一郎や三島由紀夫を日本語で読み、日本文学の面白さを知った。
「日本に関わる仕事をずっとやっていきたいと思ったんです」
帰国後は、ハーバード大学大学院で、江戸時代の日本文学史の構築に精力を傾けた。27歳で留学した九州大学では、2年の予定だった日本滞在が10年になっていた。九州大学の専任講師から、教師としての仕事も得て、日本文学研究者の道を着々と上っていった。
しかし、そんなキャンベルさんの心の内にも1つだけ、小さな引っ掛かりがあった。理由もわからぬままに失踪した実父のことだ。
「僕の人生の隙間を埋めるピースを探したかったんです。父が生きているのであれば、どういう人か知りたかった」
母に内緒で遺伝子検査をしようと思ったこともあったが、勘が鋭い母は察知してしまった。
「捜す権利を奪うつもりはないけれど、私は一切、関わりたくない。出会っても、私には言わないで」
強く断言する母を前に、キャンベルさんは心に決めた。