「映画という薬で克つ」大林宣彦監督語るがんとの共存生活
これは極めて非科学的な統計かもしれないけど。楽観的な僕は“なるほどなぁ~”と。実際、撮影現場では“死んでる暇がない”と思うぐらい元気が出る。悲観なんてしていない。僕は映画という免疫によって、生かされていると思っているんだよ」
とはいえ、80歳というご高齢。以前の体格よりも、一回りは小さくなったような気もするが……。
「がんになってから174センチあった身長が、今160センチ切ってるので、14センチ以上も縮んじゃった(笑)。昔の僕の映像を見ると、自分でも大きいなと思いますね。
まぁ、姿勢が悪くなったのもあるけど」
さらに監督は、自身に起きた驚くべき“事象”を告白する。
「でもね、がん発症後、いつの間にか糖尿病が治ったんです。それと前立腺肥大で1時間に1回はトイレに行っていたのが最近、8時間ぐらいトイレに行かなくても大丈夫になった。何もしないで2つの病気が治りましたよ。これもがんのおかげかもしれないね(笑)」
先月、大林作品のプロデューサーでもある妻の恭子さんが、監督と同じ80歳に。同じ年齢になったタイミングで、しみじみ語り合ったそうだ。
「2人とも口をそろえて言ったのは、『人生を振り返る時間がなかったね』と。