美智子さま「帽子に込められた『訪問先への愛と祈り』」
確認しながら仕上げていくのです」
暁夫さん亡きあと、皇室の帽子づくりは欧子さんに引き継がれている。
「皇室の方々でも一般の方でも、帽子作りに対する姿勢は同じです」と話す欧子さんだが、皇族ならではの難しさもある。
「皇族の方々は、TPOに応じて決まりが多く、帽子もそれに合わせないといけません。それに、一般の方なら、たとえ帽子が風で飛ばされそうになっても手で押さえることができますが、皇族の方々は、お立場上そういうことができない場合も。ほかに気配りなさらないといけないことも多いですから、帽子に関しては、これをかぶっていれば大丈夫と安心していただけるものをお作りしないと」
美智子さまの姿勢に学ぶところも多いという。
「美智子さまは、いつもご訪問先のことを考えて、その国の国花をモチーフにしたり、素材を使ったりしたお帽子をご希望されます」
暁夫さんが亡くなってすぐの’14年6月、両陛下が、とくに思い入れの強い沖縄をご訪問の際には、美智子さまたってのご希望で、沖縄の芭蕉布という生地を使って帽子をお作りしたという。また、’17年3月のベトナム、タイご訪問の際には、現地になじみ深い笹をつかったデザインで、というオーダーがあった。