「これまで、個性の強いコワモテな役が多くて。もっと人間らしく、心の中をさらけだすような役を演じたいと思っているところに、照屋監督から今作のオファーをいただきました。“目”を褒められるのは、役者にとって殺し文句。その場で、出演を決めました」
そう語るのは、映画『洗骨』(2月9日全国公開)で主演を務める奥田瑛二(68)。監督と脚本を手掛けた照屋年之(ガレッジセールのゴリ・46)は、「奥田さんの目の奥にある悲しみに惹かれました」と言って、奥田を口説いたという。
洗骨とは沖縄諸島の西に位置する粟国島などに残っている風習。風葬された死者が骨だけになったころ、近親者の手で骨を洗ってもらうことで、この世に別れを告げるのだ。奥田演じる信綱は亡き妻の洗骨を通じて、生きる気力を取り戻していく。
「信綱の気持ちにたいへん共感しました。しかし、妻を失ってから、その大切さに気付いても遅い。僕は約5年前から妻(エッセイストの安藤和津)への感謝の気持ちを言葉で示すように心掛けています」(奥田・以下同)
かつて不倫したい男ナンバーワンと称された奥田。気弱で情けないダメオヤジを演じても魅力的だ。
「撮影初日は、照屋監督に『かっこいい奥田瑛二が残っています』と言われました。