くらし情報『作家・山口恵以子「介護で手を抜くのに罪悪感持たないで」』

作家・山口恵以子「介護で手を抜くのに罪悪感持たないで」

を執筆していた山口さんは、家事や母の面倒を全面的に担うことに。後に、母はトイレの粗相が増え……。

「掃除したばかりなのにまた掃除なんてことが、何度も……」

10年来要介護2だった母の体調は、昨年急激に悪化した。

「昨年9月、91歳になっていた母が直腸潰瘍で大量出血。病室で多くの管につながれ、『家に帰りたい』と母は懇願しました。でも医師からは『老衰で、このまま病院で最期を迎えられることになると思います』と告げられたんです」

この段階で、山口さんは「母の最期」を覚悟していたという。

「人工呼吸器の装着や“胃ろう”を母が望まないというのは、きょうだい間で認識していました。そして知人に紹介された地元の訪問看護グループの訪問医に『点滴が入らなくなって徐々に枯れていくのは、決して悲惨な死に方ではありません』と言われたとき、家で看取る決意ができたんです」

要介護度が最大の「5」だった母だが、認知症による徘徊や騒ぎを起こすといったことはなかった。
「介護保険でほぼ毎日、ヘルパーに来てもらうことができました。私の仕事は家で執筆することが多いので、特殊かもしれませんが、それでも結果的に、仕事しながら介護することができたんです」

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