毒蝮三太夫明かす妻との出会い 改名巡り感じた「妻の強さ」
’68年2月、番組内で、本名の「石井伊吉」から「毒蝮三太夫」への改名披露が行われた。
半年ほどが過ぎたときだった。
「あなた、ヘビになったんですって?」
みさをさんが、自宅の茶の間でさりげなく切り出した。
「なんで、知ってるの?」
「お友達に言われました。『あなたの旦那さん、今度はヘビになったのね』って。なぜ、言ってくれなかったんですか」
「いや、君は日曜もデパート勤めだからテレビも見ないし。それに、“毒蝮”に改名なんて、きっと君が悲しむと思って」
「あなたの決めたことを、私が反対すると思う?なんでも言い合えるのが夫婦でしょう。それをおもんぱかって内緒にするなんて、その理屈はおかしいです。
これからはなんでも言ってちょうだい」
まむしさんは、80年以上の人生の中で、あの改名は最大のターニングポイントだったと語る。
「自分でも、堂々と“毒蝮”を演じるようになった。なにより、この一件で、カミさんが一枚上手と知ったね。あの度胸には感服したし、それからは、オレたち夫婦は、なんでも話し合っていこうと決めたんだ」
突然の腸閉塞での入院は、’05年の大みそかのこと。