遺言、墓じまい、ペット…親の死後起きるトラブルに備えよう
「急死した親が残した家具があまりにも多くて困りました。最終的に、業者に頼んだら遺品整理に100万円近くかかって。“使わないもの”は、もうちょっと断捨離しておいてほしかった」(35・主婦)
「父が死んで、残された認知症の母は待ったなしで介護付き高齢者施設に入居しなければなりません。でも、父の財産をまったく把握していなかった。それですぐには資産計画が立たず、入居先の候補すら挙げられなくて」(45・会社員)
夫や自分の死後、子どもたちを不幸にするような金銭的な負担、仕事も手に付かなくなるほどの苦労をかけたくないという人は多い。行政書士で葬祭カウンセラーの勝桂子さんも「50歳を過ぎれば死後の準備を始めるべき」と語る。
「『終活なんてまだ早い、お金もかかるし面倒くさい』と思っている人もいるかもしれませんが、複雑に考えることはありません。できることから少しずつ始めましょう。
それが誰にも迷惑をかけない“スマート老後”の第一歩となるのです」(勝さん)
そこで事前にやるべきことを、勝さん、ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんに聞いた。
■「死後準備」遠方の“墓参り”は将来、孫の負担にならないか
「死後のトラブルを防ぐには遺言書を作成することが大切です。法改正により財産目録はワープロ文書で作ったものでも可能になるなど、今後も遺言の利便性は高まっていくと思われます」(風呂内さん)
公証人の立ち会いのもと、公正証書遺言を作成する場合は。
「費用は財産額が100万円以下で1人に遺すなら、1万6,000円で作成できます。これに財産価格などにより、手数料が加算されます」(勝さん・以下同)
ペットがいれば“次の飼い主”についても遺言で触れておく。
「事前に引き取ってもらいたい親類や知人に相談を。新たな飼い主を探してくれるペット信託を扱う保険や団体もあります。ペットが5年生存することを想定し、100万~200万円の費用が必要です」
自分の死生観も伝えるべき重要事項。
命に関わる医療の選択肢を迫られたとき、積極的な治療で延命を図るか、緩和ケアに切り替えて穏やかに死を迎えるか――。子どもに心理的負担をかけないためにも決めておきたい。また、葬式に関しては“自分の望む形”を作っておくこと。「葬儀に呼びたい人のリスト、形式や料理など、事前予約が無難。生前支払いが基本なので、契約状況を家族に知らせておくこと」
死後、問題となるのは墓や仏壇。誰が引き継ぐかでもめたり、子や孫が引き継ぎたいのに、親が勝手に「墓じまい」をしてしまうなど、さまざまなトラブルがある。
「家族でしっかり話し合うことが前提。そのうえで墓じまいをして納骨堂に安置するなら、時間をかけて菩提寺に『私の代で終わらせたい』という意思を伝えましょう」
親の死の直後に、菩提寺に子が突然「檀家をやめます」と切り出すのは、感情的ないさかいになりがち。
「寺の経営が厳しい今、墓じまいの際に50万円、100万円の“離壇料”を求められることは、決して珍しいことではありません」
菩提寺との金銭トラブルを避けるためには、親が元気なうちに交渉しておいたほうがよい。
「子どもや孫が遠方に住んでいるなど、寺がその事情をくみ取ってくれれば、離壇料など発生せず、墓石の撤去費用(20万~30万円)のみで済むケースが。良心的な寺であれば、仏壇や先祖の位牌も5,000円~3万円ほどで、御霊抜きやおたき上げをしてくれるでしょう」
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