「雇用に国のサポートを」専門家分析するトヨタ社長発言の意図
「なかなか終身雇用を守っていくというのは、難しい局面に入ってきた――」
5月13日、日本自動車工業会の会長会見での豊田章男氏(トヨタ自動車社長)の発言が、大きな波紋を呼んでいる。『トヨタの方式』の著者がある、経済ジャーナリストの片山修さんが語る。
「日本の企業で初めて売上高30兆円を超えたという、トヨタの’19年3月期決算が発表されたタイミングだったため、社員の気が緩まないよう、引き締める意図もあったでしょう。しかし同時に、経団連の中西宏明会長も『企業側からみると(従業員を)一生雇い続ける保証書を持っているわけではない』と話しているとおり、高度経済成長期に作られた“サラリーマンがそこそこ働いて、年功序列で定年まで勤め上げる”日本人の働き方が、トヨタであっても維持できなくなるという意味が含まれています。ほかの企業にも大きな影響を与える結果となるはず」
こうした改革が求められるのも、自動車産業がいま「100年に一度の大変革期」にあるからこそ。経済ジャーナリストの大西康之さんは、市場の変化が雇用のあり方を変えていくと考える。
「まず若い世代の車離れ。カーシェアリングが主流になってきて、もう個人で車を持つ時代は終わりつつあります。