老後2000万円報告書で発覚した“富裕層の税率が高い”のウソ
じつは株の売却益や配当にかかる税金は、給与所得や事業所得などの所得税とは別に計算することになっていて、2013年の時点では税率は“金額に関係なく一律”10%(所得税7%+住民税3%)に過ぎなかった。そのため、5千万~1億円の人の所得税の負担率27.5%をピークに、5~10億円の人だと19.1%、100億円以上だと11.1%と、所得が多くなるほど負担している税率が低くなっていくのだ。
2014年から、株の売却益や配当にかかる税率は20%(所得税15%+住民税5%)に引き上げられたが、近年の統計でも、所得税の負担割合は5千万~1億円の人で28.2%、5~10億円の人だと23.35%、100億円以上だと16.85%と、やはり所得が多くなるにつれて低くなっている(いずれも国税庁「平成29年分 申告所得税標本調査」より)。
これは所得税のみ税率なので、ここに5%の住民税が加わるのだが、それでも給与などの所得税の最高税率45%には遠く及ばない。仮に、所得100億円以上の超富裕層の税負担率が住民税を加えて20%ほどだったとしても、これは年収1,500万~2,000万円のサラリーマンと同じ程度の税負担率に過ぎない。