年金価値が激減…マクロ経済スライドという“悪魔の仕組み”
老後20~30年で最大2千万円の資金が不足する――。
“年金神話”崩壊を告げた、金融庁が6月3日に発表した「金融審議会『市場ワーキング・グループ』報告書」。発表当初はその内容を支持していた麻生太郎金融相(78)だが、11日に「正式な報告書としては受け取らない」と表明。さらに、18日には報告書を基にした質問への回答を拒否する方針を閣議決定していた。7月の参院選を見据えた、不誠実な政府の対応に国民も怒り心頭だ。
火消しに躍起な麻生金融相は11日、記者会見で報告書の内容をこう疑問視した。
「高齢者の生活は極めて多様だ。(資金が)一概に足りないと決めつけるのはいかがなものか」
確かに“老後に2千万円”が根拠としているのは、高齢者世帯の支出と収入の単純な差額だ。
“普通の生活”を諦めて、食費や光熱費を無理に削ったり、お金のかかる趣味を諦めたりすれば、赤字額を減らすことはできるだろう。しかし、問題はそう単純ではなかった――。
「年金は将来的にどんどん減らされていきます。それは年金に“悪魔の仕組み”があるからです」
そう語るのは、“年金博士”として知られる社会保険労務士の北村庄吾さんだ。