東大祝辞反響の上野千鶴子 女性学認められず悔し涙流した事も
82年に「セクシィ・ギャルの大研究」で著者デビューした上野氏は、30代を迎えてまもなく京都の平安女学院短期大学の専任講師となった。しかし「まだ女性学の看板は掲げられなかった」と話し、“悔し涙”エピソードを明かしている。
「最初は大学の自主講座からで、本当に苦労しました。新しいカリキュラムを作って、予算を立てて教授会に提案しなきゃならない。男性教師から、『女性学、それは学問ですか?』と言われて流した悔し涙は、今でも忘れません」
歯に衣着せぬ姿が印象的だが、「私だって、初めから強くはなかった。打たれて、打たれて、ここまで来たんだから」とも語った上野氏。93年には東京大学文学部に招かれ、現在は同大学の名誉教授だ。MeToo運動を例に挙げ「一人一人の力」の大切さを語っている。
「最近よかったのは、#MeToo運動で年長の女たちが、二度と同じ悔しさは若い世代に味わってほしくないと『ごめんなさい』を言いだしたこと。昔は『みっともないこと、やめなはれ』でしょ。長い時間をかけて変化をつくったのは一人ひとりの力」
そして上野氏は本誌の読者に、こんなメッセージを送ってくれた。
「大切なのは、自分の人生の主役になるという生き方。たとえ結婚して母親になったからといって、脇役になるわけじゃない。自分の人生は自分で決める」