俳優ならではの表現が秀逸!佐野史郎が書いた「怪談えほん」
(絵:ハダタカヒト)
家の中で楽しめるエンタメや流行を本誌記者が体験する“おこもりエンタメ”のコーナー。今、怪談を絵本の形で語る“怖い絵本”がブームに。今週は、その火付け役となった「怪談えほん」シリーズの新作をご紹介します。
■絵本『まどのそと』作:佐野史郎/絵:ハダタカヒト/編集:東 雅夫/岩崎書店1,620円(税込み)
日本の夏の風物詩とも言える“怪談”。ラジオや舞台、と各所で怪談が語られ、楽しまれています。
「怪談えほん」シリーズは、’11年の刊行時から、宮部みゆき、京極夏彦、恒川光太郎などの人気作家を執筆陣にそろえているのが特徴。シンプルな文体ながら、読む者の内なる不安や恐怖をあおります。また、実力派の画家たちの巧みな筆致に目を見張る、怪しくも美しい1冊。
俳優業のほか執筆、音楽、写真など多岐にわたって活躍する佐野史郎。絵本の執筆は初めてとなる佐野の作品『まどのそと』も、そうした流れをくみつつ、数々の作品でホラー演技を披露してきた俳優ならではのエンタテインメント性を感じずにはいられません。
“かたかたかた”と、窓の鳴る音で始まる物語。主人公の男の子は、音が気になってカーテンを開けてみるけれど、庭の木の葉は揺れていない。