くらし情報『樹木希林さん遺作 室温50度の撮影…女将が見た最後の女優魂』

樹木希林さん遺作 室温50度の撮影…女将が見た最後の女優魂

樹木希林さん遺作 室温50度の撮影…女将が見た最後の女優魂


《ドイツの監督ドリスデリエさん一行皆茅ヶ崎館に想いがあって――しかし保存は至難です――ひたすら願うばかりです》

そんな文章の横ではユーモラスな自画像が頭を下げていた。

「1年前に樹木さんが、このサインを書いてくれたのですが、一言一言がオツというか味がありますよね」

懐かしそうにそう語るのは神奈川県の老舗旅館『茅ヶ崎館』四代目女将・森治子さん(81)。

女優・樹木希林さん(享年75)が逝去してから、もうすぐ1年になる。8月16日から映画『命みじかし、恋せよ乙女』が公開されているが、これは希林さんの“遺作”でもある。希林さんが演じたのは、人生を見失ったドイツ人青年を受け入れ、再起を促す旅館の女将。茅ヶ崎館で撮影に臨んだのは、亡くなる2カ月前の昨年7月だった。女将・森さんが希林さんの“最後の演技”について語ってくれた。

「この旅館までは、運転手さんが車で連れてきてくださったそうです。
樹木さんは杖を使っていましたが、入口の階段も、ご自分で上がってきました。私が手を差し出したのですが、『大丈夫です』と、おっしゃって……」

がんで闘病中の希林さんが、この映画に出演した理由の一つが、茅ヶ崎館でロケが行われる予定があったからだという。

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