2019年8月29日 06:00
時効まで1カ月…10歳息子なくした母語る熊谷ひき逃げ事件
日本一の暑さを誇る埼玉県熊谷市ーー。強い日差しを照り返す道路に、黄色い菊の花だけが、くっきりと浮かび上がる。供花したのは、’09年、この場所で自動車にひき逃げされ、亡くなった小関孝徳くん(享年10)の母・代里子さんだ。
「命日の9月30日を迎えるたび、“事件は風化し、逮捕が遠のいているのでは”と、不安を感じます」
事故から10年を迎える今年の命日は、特別な意味を持つ。
「自動車運転過失致死罪の時効が成立してしまいます。しかし、いまだに犯人につながる物証や目撃情報はありません」
こう着状態とも思われる捜査。事故の際、息子は泣いていたのか、助けを求めていたのかーー。
「孝徳は、すごく気遣いのできる子でした。
4歳のときに夫を亡くし、母子家庭だったこともあって、あんまりわがままを言わないんです。口ぐせは『うん、いいよ』で」
小1から始めたいと言っていたサッカーも、代里子さんが、送迎できるようになるまで我慢した。
「孝徳が小3になったとき、ようやく中古車を買えて、サッカーを始めることができたんですね」
小4の誕生日には、自分で生活を管理できるようにと、代里子さんは、プレゼントは腕時計でいいか、孝徳くんに相談。