2019年10月28日 11:00
新朝ドラヒロイン“モデル”女性、長男の白血病で決めた覚悟
8月末。滋賀県草津市の「草津クレアホール」では陶芸家の神山清子さん(83)と長男・賢一さんによる親子展が開催されていた。
「ここに展示してるんは、ぜ〜んぶ穴窯で焼いたもの。でも、同じ土、窯で焼いてても、それぞれたき方が違うから……、ほら、見て。色も光沢もみな、全然違うやろ」
御年83歳の神山さんは、女性陶芸家の草分け。日本六古窯に数えられる“焼き物の郷”信楽で本格的に作陶を始めたのは、もう半世紀以上も前のことだ。自宅に「穴窯」と呼ばれる半地上式の窯を築き、釉薬を使うことなく光沢ある陶器を焼き上げる古の製法『信楽自然釉』を復活させた。
現在放送中のNHK連続テレビ小説『スカーレット』も、信楽を舞台に、男性中心の焼き物の世界で、女性陶芸家が自らの道を切り開いていく物語。
戸田恵梨香演じる主人公・川原喜美子の人物像、そのヒントになったといわれているのが、神山さんだ。
「ああ、これは賢一くんの作品や」
会場の真ん中に、少し毛色の違う作品が並んでいる一角があった。玉虫色に光り輝く茶碗を眺めながら、神山さんはしみじみと続けた。
「これは賢一くんの耀変天目茶碗。どれも色がいいやろ。外国の人にすごい人気。