2019年11月4日 11:00
65歳まで現役貫いた元全日空CA 8000人の後輩に「輝き方」伝え
「アテンション・プリーズ……、ANA231便、ブリュッセル行きは、ただいまご搭乗の最終案内をいたしております。47番ゲートより、ご搭乗ください……」
繰り返し流れる、旅情をかき立てるアナウンス。大きなスーツケースを積み重ねたカートが所狭しと行き交い、航空会社のカウンターには、パスポートを手にした旅行者の長い列ができていた。
ここは成田国際空港、第1ターミナル南ウイング。出発便の運行情報を表示する電光掲示板の前に、1人の女性の姿があった。足を止め掲示板を見上げる多くの人のなかでも、背筋をぴんと伸ばして立つ美しい姿は自然と目を引く。やがて、彼女は周囲をくるりと見回すと、ほほ笑みを浮かべ、誰に言うともなくこうつぶやいた。
「うん、やっぱりいいわね、空港は……」
彼女の名は大宅邦子さん(65)。
’74年、20歳で入社して以来、ANA一筋、客室乗務員(CA)一筋で、世界の空を飛んできた。’85年にはANAの国際線立ち上げのプロジェクトに最年少で抜擢。以降、おもに国際線のファーストクラスを担当しながら、客室全体の責任者・チーフパーサーとして、最上級のおもてなしを提供し続けてきた。
ちょうど1年ほど前の昨年11月。