2019年12月13日 06:00
「遺言書があっても無視する長男」“争族”になる家族の特徴
「相続で争うのは、お金持ちだけだと思っていませんか。相続トラブルのうち、およそ半数は1,000万円以下の遺産を巡るものだといわれています。そして、親族同士がもめる“争族”は、他人同士の争いよりも激しくなることも多いんです」
そう語るのは、これまで約3,600もの家庭の相談を受けてきた遺言・相続の専門家の江幡吉昭さん。銀行勤務時代に顧客の相続争いを経験したことから専門家の必要性を痛感。遺言・遺産問題の総合サイト「遺言相続.com」を運営している。
「司法統計のデータでも、遺産の分割を巡る争いは、平成20〜27年の7年で23%も増加しています。うちのきょうだいは仲がよいので大丈夫と思っている家族ほど、争いに発展することも多いのです」(以下、「」内は江幡さん)
それまで問題なくやってきた親族が、遺産相続をきっかけに“争族”になることは多いという。しかも、意外な理由で……。
江幡さんが“争族”の実例を教えてくれた。
【争族1】父と同居する姉に財産を使い込まれた
姉(55)の家族と暮らしていた父が83歳で亡くなった。公務員として定年まで勤めた父。数千万円の退職金をもらい、十分な年金も受給していたので、離れて暮らす素子さん(仮名・53)