2019年12月23日 11:00
【秘蔵写真公開】瀬戸内寂聴さん 故・田辺聖子さんに「早く会いたい」
82年ごろ、伊丹市の自宅近くで。
今年も多くの偉大なスターが、たくさんの思い出をわれわれに残してこの世を去った。そんな故人と親交が深かった方々から届いた、愛あふれるラストメッセージを紹介。題して、「大好きなあなたへ最後のラブレター」ーー在りし日の姿に、心からの哀悼の意を表して。
■田辺聖子さん(享年91・作家・6月6日没)へ。瀬戸内寂聴(97・作家)
田辺聖子さんと最後にお会いしたのは10年ほど前、『源氏物語』について対談したときでした。36年間連れ添ったご主人“カモカのおっちゃん”にはすでに先立たれてしまい、ご自分で傘をさして、雨の中を、お宅の近くのホテルまでお出かけくださったのでした。
何だか寂しそうだったのを覚えています。
私が聖子さんの家に遊びに行くと、いつもおっちゃんが待ち構えていて、聖子さんが大好きだったスヌーピーやお人形でいっぱいのホームバーで、3人で飲み明かしました。そして彼は私に、何度も繰り返したものです。
「聖子は天才でっせ。何世紀に一人という天才でっせ!」
長らく独身だった聖子さんが、町医者で先妻との4人の連れ子のあるおっちゃんの後妻になったのは38歳くらいのときでした。