2019年12月28日 11:00
生前退位は画期的…美智子さまお支えになった新しい皇室の形
その電話は、思いがけないタイミングでかかってきた。
11月1日、調布市の東京スタジアムでのラグビーW杯日本大会の3位決定戦が終了して、まだ間もない時間帯のこと。この試合には、先ごろ譲位された上皇上皇后両陛下が、ご観戦に訪れていた。
美智子さまからの電話を取ったのは、岩手県八幡平市在住で、絵本編集者の末盛千枝子さん(78)。
美智子さまの講演録『橋をかける』の編集を手がけ、今年3月には『根っこと翼皇后美智子さまという存在の輝き』を出版するなど、文学を通じて30年以上の親交がある末盛さんは、この電話で、感慨を抱いたという。
「それにしても、試合が終わって戻られて、本当にすぐという感じのお電話で。そんなことからも、ああ、陛下がご譲位なさって、少し余裕も出てこられたのだなぁと思ったんです」
この9日後には、令和の御代を迎えての、天皇皇后両陛下の御即位祝賀パレードが行われた。
「驚くような報道があると思うけれど、そういうことだから」
末盛さんに、美智子さまからそんな電話があったのは、16年夏。
その数週間後、『天皇陛下退位』の速報に接して、「このことだったのか」と合点がいったという。