2020年2月20日 11:00
映画『パラサイト』で描かれる“半地下家族”が抱える問題
さんだ。
「たしかに快挙かもしれませんが、この映画は韓国の格差社会を、あまりにリアルに描いたノンフィクション映画といってもよい。つまり、韓国における“社会の恥”が明らかになった作品でもあるのです」
キム家が住む“半地下住宅”という設定は、韓国の実態にもとづいている。
半地下部屋とは、地上と地下の間に位置する居住空間のこと。もともとは、’60年代後半、南北問題が緊迫化するなかで、北朝鮮の侵攻に備えた地下の避難場所として、住宅施設に設置が義務づけられていたものが、徐々に居住空間へと変わっていった。
家賃は一般的なアパートの半額で約3万~5万円程度。キム家のように収入の少ない家庭や若者、年金のみを頼りに生活する高齢者などが住んでいるという。
「’15年の韓国政府が発表した統計によると、約86万人が半地下または地下に住んでいるといわれています(韓国の人口は約5,000万人)。
住民の生活は苦しく、日光が差さない半地下住宅は、カビ・高湿度・プライバシー侵害などの問題を抱えています」(前出・在住ジャーナリスト)
皮肉にもポン・ジュノ監督の快挙によって抉り出された驚きの実態。アカデミー賞受賞は、貧困層に“光が差す”きっかけになるだろうか。
「女性自身」2020年3月3日号 掲載
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