2020年2月20日 11:00
『パラサイト』抉る韓国の格差「半地下と遊ぶな」と教育も
(C)2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED
韓国国内だけでなく、日本も歓喜に沸いたアジア映画の快挙。しかし、韓国経済の実態を知る識者たちは、「この受賞は手放しで喜べない」と口をそろえるのだったーー。
2月10日(日本時間)に行われた第92回アカデミー賞で、『パラサイト半地下の家族』(以下、『パラサイト』)が、作品賞・監督賞・脚本賞・国際長編映画賞の4冠に輝いた。ポン・ジュノ監督(50)が成し遂げたこの偉業は、韓国映画101年の歴史上初であると同時に、非英語の作品としては初めての快挙だ。
『パラサイト』は、“半地下住宅”で暮らす貧しい家族・キム一家4人を中心にしたストーリー。しがない内職で生活をつなぐ4人が、巧みに裕福な家庭・パク家に入り込み、家庭教師や運転手、家政婦につくことで、彼らに“寄生”していく様子が描かれている。
キム家が住む“半地下住宅”という設定は、韓国の実態にもとづいている。
半地下部屋とは、地上と地下の間に位置する居住空間のこと。
もともとは、’60年代後半、南北問題が緊迫化するなかで、北朝鮮の侵攻に備えた地下の避難場所として、住宅施設に設置が義務づけられていたものが、徐々に居住空間へと変わっていった。