「上の子は“ママに会いたい”と」無痛分娩“医療ミス”の悲痛
長女を胸に笑顔を見せる長村千惠さん。この翌年、第2子の無痛分娩中に呼吸停止。意識が戻らないまま亡くなった。
「初めまして」とわが子を抱き寄せるはずだった、その日の悲劇。アメリカやフランスでは一般的になりつつある無痛分娩を選んだ女性はなぜ、無念にもこの世を去らなければならなかったのか?ーー。
産後の回復が早いなどのメリットから利用者が増えている無痛分娩で、重大事故が相次いでいる。
無痛分娩は局所麻酔で陣痛に伴う痛みを和らげ、出産時の疲労を軽くする出産方法だ。出産後、比較的早期に仕事に復帰できることもあり、欧米を中心に働く女性に人気で、フランスでは妊婦の6割以上、アメリカでも4割以上が無痛分娩を選択。日本の無痛分娩の実施率も’07年の2.6%から’16年の6.1%に急増している。
ところが新聞で報道されているだけでも’11年以降、無痛分娩による死亡事故が5件、重い障害が残った事故が2件発生しており、その中には3度も重大事故を起こしたクリニックもある。
第2子の誕生を心待ちにしていた長村千惠さん(享年31)も無痛分娩事故の犠牲者の1人だ。千惠さんは無痛分娩中に、呼吸が停止。酸素不足から脳死状態になり’17年1月20日、意識が戻らないまま亡くなった。