2020年4月6日 11:00
誕生直後に生存率30%の“余命宣告”…325gの娘が生きた9カ月
「この先、72時間が山場です。赤ちゃんの生存率は30%です。だから、その覚悟を……」
誕生直後の、半ば余命宣告ともとれる言葉。赤ちゃんのパパ、幸田敏哉さん(54)は生存率の低さに衝撃を受け、その後の説明は頭に入ってこなかった。22週と3日で生まれた奈乃羽ちゃんは、体重わずか325グラム。ここから、奈乃羽ちゃんの、親子の、闘いの日々が始まった。
生後1週間目。奈乃羽ちゃんは腸が破け、汚物が体内に漏れ出るという危険な状態に。
翌日には奈乃羽ちゃんの全身状態を見極めた医師が「この体調なら手術に耐えられる」と判断。小さなおなかを開いて腸を体外に取り出し、破れた箇所を繕った。小さな背中は床ずれで炎症を起こしていた。細い手足には何本もの点滴の針。口には酸素を送る管、手術で開いたおなかにも管が通っていた。
母・幸田佑里子さん(42)が、奈乃羽ちゃんを初めて抱っこできたのは、生後100日を過ぎた5月も半ばのことだった。このころになると、奈乃羽ちゃんの体重は1,000グラムを超え、保育器も卒業。手術も繰り返されたものの、奈乃羽ちゃんの状態は比較的、安定していた。
「初めての抱っこで、奈乃ちゃんの体温にじかに触れて感動しました。