「男が化粧」で紅白落選…ピーター語る転機は“黒沢映画”
「私がデビューしたころとは時代が違うんですよね。私なんて、化粧してるってだけで出られなかったから(笑)」
こう話すのは「ピーター」こと、歌手・俳優の池畑慎之介さん(67)。映画『薔薇の葬列』で、いきなり主役を務めて鮮烈な銀幕デビューを飾り、デビュー曲『夜と朝のあいだに』も大ヒット。最近では人気ドラマ『下町ロケット』(TBS系)でイヤミな弁護士役を白髪頭で演じ、好評を博した。
そんな彼の父親は、女形の舞手として名をはせた上方舞吉村流の家元、人間国宝の吉村雄輝。物心つくころには、父から芸を厳しく仕込まれていた。
「父の目に私は跡継ぎとしか映っていなかったと思います」
ピーターは父の元を飛び出した。東京で、知り合った作家や演出家の目に止まって芸能界へ。
デビュー曲『夜と朝のあいだに』でレコード大賞最優秀新人賞を獲得。アイドル・ピーターは、一気にスターダムにのし上がった。しかし、世間はまだまだ保守的。極め付きは年の瀬の紅白、曲の大ヒットを受け「初出場当確!」とスポーツ紙は書いたのだが、
「偉いおじさんが言ったそうですよ。『なんで、化粧した男を出さなきゃならないんだ』って。その一言で落選。