コロナ禍の不安に…江國香織、湊かなえら女性作家からの1冊
「この世界的な危機において、不安や不調やストレスを抱えながらふと、もしかしてこれは地球が人類に与えたお仕置きではないかと思うことがあります。そんなとき、’09年に肺がんで亡くなった動物行動学者の日高敏隆さんの本を手に取り、一語一語に接していると、日高さんの声と表情がよみがえり、無知なわが身を嘆かわしく思いつつも、いつしか心が落ち着いてくるのです」(作家・阿川佐和子さん)
新型コロナウイルス感染拡大により、外出を控えたり、あふれる情報に戸惑ったりーー。そんな心のざわつきは、1冊の本との出合いによって和らぐことがある。私たちと同じ時代を歩いてきた女性作家が「今こそ読んでほしい」とすすめる本。
■角田光代さん(53)/『彼女たちの場合は』江國香織(集英社)1,980円
「17歳の逸佳と14歳の礼那が、親に無断でニューヨークの自宅を出て、アメリカを旅する物語。私にはできそうもない旅を、読むことで体験できます。彼女たちと旅している間じゅう、本当に幸福でした」(角田さん)
〈もっとアメリカをみなくっちゃ〉と、行き先も決めずに旅に出た日本人の少女2人の冒険。長距離バスや列車を乗り継ぐ旅先の美しい景色や食事、出会う人たち。