『エール』最後の熱演 志村さん突き動かした高倉健さんの手紙
初対面の際は『生涯でいちばん緊張した』と苦笑いしていました」(前出・映画関係者)
当時、志村さんは映画誌のインタビューで“憧れの高倉さん”とのエピソードを語っている。
《北海道ロケの時に、初めてお会いしたんです。その時は、言葉で言い表せないぐらいに大きく感じました。その撮影に行く前の日に健さんから僕の携帯電話の留守電にメッセージが入っていたんです。内容は『弟子志望の高倉健です。こちらは寒いですから、風邪をひかないように、よろしくお願いします』というもので、それを聞いた時はビビりましたよ。いきなり『弟子志望』なんて、ギャグを飛ばしてきましたから…。そのメッセージは、しばらく消さずにいろんな人に聞かせて自慢していたんです(笑)》(『キネマ旬報』’99年6月15日号)
炭鉱作業員役を演じた志村さん。
真冬の夜9時から始まった撮影は氷点下20度の過酷な現場だった。
「リハーサルでアドリブを連発する高倉さんに、志村さんも当意即妙で返す。現場は大変な熱気に包まれました。共演ロケは2日だけでしたが、高倉さんは役者としての志村さんを絶賛していました」(前出・映画関係者)
実際、高倉さんは『キネマ旬報』のインタビューで、志村さんのことをこう評していた。