繰り下げ上限75歳に…余裕あれば、年金「72歳繰り下げ」が得
「先日、新しい年金改正法が公布され、’22年4月から施行されます。今回の大きな改正は、“年金の受給開始年齢を75歳まで延長可能にする”ということです」
そう話すのは、ファイナンシャルプランナーで保険のプロ・長尾義弘さん。年金の受給開始のタイミングが拡大することで、何が変わるのか?長尾さんに詳しく解説してもらおう。
現行の制度では、65歳を起点に、それより早く年金をもらい始めることを“繰り上げ受給”、66歳以降に遅らせることを“繰り下げ受給”という。改正により、この繰り下げ可能な期間が5年広がることになる。
「ここでは、“65歳のときの年間受給額が、厚生年金と基礎年金を合わせて150万円になる会社員”のケースを想定。60歳で受給を開始すると、受給額は年間約36万円の減額となります。すると、80歳の時点で、65歳から受給を開始したときの総受給額の2,400万円と比べて、総受給額は2,394万円と少なくなってしまうのです。
日本人の65歳時点での平均余命は男性19.7歳、女性24.5歳。この数字を考えると、繰り上げ受給は損をしてしまう選択と言えるでしょう」
いっぽう、繰り下げたケースをみてみるとーー。