2020年7月24日 06:00
野澤亘伸はなぜ世界で20年間、子供の貧困を撮り続けるのか
ある時期は、週刊誌のスクープ・カメラマン。またある時期は、アイドルの写真集を60冊以上手がける海パンカメラマン。そして昨年には将棋の棋士を撮影&執筆した『師弟棋士たち魂の伝承』で第31回将棋ペンクラブ大賞を受賞。数多くの顔を持つ写真家・野澤亘伸さん(52)の「もう一つの顔」を知る人はあまり多くはない。世界を巡り「子供の貧困」問題に立ち向かう「フォトジャーナリスト」の顔だ。
野澤さんが7月10日に刊行した新刊『この世界を知るための大事な質問』(宝島社)は、日本ユニセフ協会の現地視察に20年前から同行し、世界の紛争地やスラムなどの貧困地域を撮影してきた彼の「フォトジャーナリスト」集大成ともいえる一冊。記憶に残る各地の写真をもとに世界の子供たちの貧困問題をQ&A方式でかみ砕いて解説し、現地で取材した少年少女たちの逸話や、ユニセフ協力によるファクト集も掲載している。
野澤さんが「子供の貧困」問題を深く考えるようになった契機は、20数年前に初めて行ったカンボジアで、ある国会議員が、子供たちにおこなった行動を眼前にした時に遡るという。
野澤さんは当時をこう振り返る。
「ランドクルーザーに集まってくる子供たちに、国会議員が窓からお金を撒いていたんです。