2020年9月10日 06:00
検証アベノミクス 物価と税負担だけが上昇し、みんな貧乏に
「アベノミクスは買いだ」
世界にそう喧伝していた安倍晋三首相。だが、8月28日の辞任会見で「アベノミクス」という言葉は最後まで使わなかったーー。『アベノミクスの終焉』の著書がある同志社大学商学部の服部茂幸教授が話す。
「アベノミクスが中途半端で終わったことを表しています。アベノミクスは、日本銀行が国債をたくさん買い入れることにより、市中に大量の通貨が供給され、金利は下がり、企業活動が活発化。物価の上昇とともに賃金も増え、消費も拡大すると謳っていました。その景気回復へのシナリオはすべて頓挫したのです」
7年8カ月も続いた第2次安倍政権の根幹政策だったアベノミクス。その実態を検証しよう。
■物価上がるも賃金下がり
『ツーカとゼーキン知りたくなかった日本の未来』の著者である弁護士の明石順平さんはこう語る。
「確かに、物価は上昇しました。消費者物価指数は’12年から’19年までに7.2%、食料品に限っては約11%も急上昇。ところが、物価が上がっても名目上の賃金はほとんど変わっていません」
賃金が上がっても、それ以上の勢いで物価が上がっていれば、買えるものは少なくなり、実質的に賃金が減っているのと変わらない。