「家事は放棄して、と言われ…」岩下志麻語る“戦友”夫婦像
ところだった。
「ですから、すぐに結婚ではなく、まず同棲してみようとなったんです。田園調布の一軒家でしたが、SNSの盛んないまなら大変だったでしょうね。よく、見つかんなかったな、と(笑)。2年の同棲生活のあと、私が26歳のときに結婚したのですが、そのとき篠田が言いました。『結婚しても、女優はやめないでほしい。むしろ結婚生活を栄養分にして、女優としてもっと豊かになってほしいんだ。女優として家庭は休息の場にして、家事もいっさい放棄していいよ』私自身、役に入り込むタイプですから、この言葉はありがたかったです。
ただ、世間的には、家事をしないと知られたことで、『主婦の風上にも置けない』と、かなり激しいバッシングを受けました。でも、これも篠田が全面的にバックアップしてくれました。なにより、その後、夫婦で独立プロを立ち上げたりして必死でしたから、そんな批判の声を気にするヒマもなかったんです」
篠田さんは、新婚当初から妻となった岩下さんのことを「戦友」と呼んだ。早くも結婚から2カ月後には、二人三脚で映画の独立プロダクション「表現社」を立ち上げる。
「ふだんはけっして弱い部分を見せない篠田が、松竹を辞めた日にウイスキーを1本空けて、へべれけになっている姿を目撃したんです。