北野武や黒柳徹子も絶賛! 特殊メーク第一人者・江川悦子さん
結婚後27歳で出会った特殊メーク。母親になっても夢を諦めなかった。
主婦業の傍ら、ハリウッドで腕を磨き、大河ドラマ『麒麟がくる』の“坊主メーク”などで、邦画・ドラマ界でのパイオニア、第一人者として活躍し続ける特殊メークアップアーティスト・江川悦子さん。
短大卒業後はファッション雑誌「装苑」の編集部に入った彼女が、特殊メイクの職を志したのは、夫のアメリカ転勤がきっかけだったという。到着したアメリカで、夫婦で見たのが、81年公開のホラー映画『狼 男アメリカン』。映画館の暗闇の中、主人公の青年が狼男に変身するシーンが、江川さんをくぎ付けにした。
「主人公がアアーッとうなりながら、手や顎がズンズン伸びていき、毛むくじゃらに変身していく。CGのない時代ですから、どうなってるんだろう、どうやってこんなシーンを作るんだろう、って」
そのシンプルな驚きは、すぐに確固とした夢に変わっていた。
「私も、これ、やってみたい!」
江川さん、27歳の夏だった。
しかし、特殊メイクの学校に通い、いざ就職!となっても、アメリカ人の方が職が見つかりやすい。映画スタジオから何度も門前払いされる江川さんだが、決して諦めなかった。