2020年12月17日 06:00
64歳ホームレス女性殺害事件「明日はわが身」の悲痛
事件現場となったバス停には多くの花が(写真:時事通信)
新型コロナ第3波の煽りを受け、「仕事を解雇された」「給料が減らされている」「売り上げが落ちた」など、心配が尽きない人も多いのではないだろうか。
「うちのNPOにも、昨年に比べて5倍くらい相談が増えています。弱い立場の人が真っ先に影響を受けている。日雇い労働者や、派遣・パート、住み込みで働いている人たち。そして、不安定雇用になりがちな“女性”です。とくに女性は、2019年度と比べて相談件数が1割近く増加しています」
そう話すのは、北九州市を拠点に30年以上、ホームレス支援を続けているNPO法人「抱撲(ほうぼく)」の理事長、奥田知志さん。
11月には、女性の自殺が昨年同時期と比べ約40%も急増していると警察庁が発表。東京都渋谷区で路上生活をしていた64歳の女性が、早朝のバス亭に座って休息をとっていたところ、46歳の男性に殴り殺されるという痛ましい事件も起きた。
「報道によると彼女は今年2月頃までスーパーで働いていたそうです。それなのに、たった半年ほどでホームレスになり、バス停で夜明かしするしかない状態にまで追い込まれていた。所持金は8円。